つわりは妊娠に伴う生理的な反応です
一般に妊娠4~6週目からはじまり、12~16週目には落ち着いてきます。その期間中は体にさまざまな不調があらわれますが、鍼灸治療はつわりの症状を和らげるのに効果的です。
つわりの症状
主な症状にはむかつき、吐き気、眠気、頭が重い、体がだるい、などがあります。症状の程度は人によってさまざまで、軽いむかつきを感じる程度ですむ人もいれば、つわりの期間中寝込んでしまったり、脱水や栄養障害、代謝障害をきたすほど重症になる人もいます。この症状は妊娠悪阻(おそ)といって妊婦の1~2%ぐらいで起きるといいます。
つわりは食生活にも影響を与えます
食欲不振になったり、逆にいつも何か口にしていないと落ち着かない「食べつわり」になる人もいます。また、食べ物の好みが変わるケースもあります。
つわりの原因
つわりは原因がはっきりと解明されていません。ただ、胎盤になる絨毛から分泌される「ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG))」というホルモンが、嘔吐中枢を刺激しているのではないかと考えられています。
つわりの有効なツボは?
つわりの症状である吐き気や食欲不振などを緩和するときは鍼灸治療が効果的です。つわりに効果のあるツボは「胃兪(いゆ)」、「中脘(ちゅうかん)」、「天柱(てんちゅう)」、「気舎(きしゃ)」、「天鼎(てんてい)」、「三陰交(さんいんこう)」などが挙げられます。
つわりのピークで辛い時の対処方法
食べたいものだけ食べましょう。赤ちゃんは、胎嚢から栄養をもらっていますのでつわりが強い時期はあまり深く考えず食べられないときは無理に食べなくても大丈夫です。
ただ水分を取らないと脱水になってしまいますので氷をかじるなど意識して脱水にならないようにしましょう。毎日これだけ食べないとだめと思わずに2~3日間くらいで栄養バランスを調整すると良いでしょう。
妊娠初期には、葉酸を取ることを推奨していますが、葉酸のタブレットや薬も気持ち悪くて飲めないという方は、白湯や水ではなく酸味があるハイビスカスやローズヒップのハーブティなどが口当たらいも良く飲みやすいです。
つわりに対処できない時の病院にはいつ行きますか?
どうしてもつわりが辛い時は病院で点滴をしてもらいましょう。つわりで水分や食べ物が取れないとミネラルや電解質が不足しがちになりだるくなってしまいます。
病院で糖分や電解質の入った点滴をしてもらうと楽になる方も多いです。また人に話を聞いてもらうだけでも気が紛れます。我慢したり無理したりせず病院に行くといいです。
妊娠悪阻の症状は?
次のような症状があると方はすぐに病院に行くようにしてください。
- 一日中吐いている
- 水分も全く取れない
- 体重が4kg以上痩せた
- おしっこの量が少ない
- ふらふらして日常生活がままならない
これらは妊娠悪阻と言って病院で入院が必要になる場合があります。このような症状があったら西洋医学の病院と東洋医学の鍼灸治療をするようにしてください。
つわりのピークはいつか終わる
つわりは軽い人から重い人まで本当に様々です。それに完全に治すことは出来ないので、辛い時期も知れません。でもつわりのピークはいつか終わります。長引く方も楽になる時が来るのでそれまでは無理せずうまく対処しながら待ちましょう。辛い時には、鍼灸治療は、有効です。
聞かせて!先輩ママ!「妊娠初期の心と身体の変化」
吉村やすのり
産婦人科医
慶應義塾大学名誉教授・内閣参与
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