2022年5月20日作成 鍼灸師 榊原義盛
生理痛とは
生理周期や期間には個人差がありますが、通常の生理周期・期間に対して、長かったり、逆に短くなったり、周期がバラバラで一定しない状態になったら「生理不順(月経不順)」を疑ってください。生理不順になる原因はストレスやダイエットなどさまざまです。主な原因と鍼灸治療による改善法について説明します。
生理痛の症状
月経時に下腹部や腰が痛むのが生理痛です。月経時にはさらに頭痛や冷え、のぼせ、吐き気、イライラや不安感などの症状を伴うこともあります。月経の初日や2日目に痛みがあり、学校や仕事に特に支障がない場合は体を冷やさないように気をつけて、これから説明するツボ押しやストレッチなどで血行を促進させるようにしましょう。
生理痛の症状が酷くなると
月経痛やその他の症状が長引くと「月経困難症」という病気が疑われます。また、家事や仕事ができなくなるくらい激しい痛みを感じた場合は、子宮内膜症などほかの病気が隠れている場合もあります。痛みがひどいときは専門家に診てもらうようにしましょう。
月経困難症は現代女性特有の悩み
現代の女性は、昔の女性に比べて月経の回数が格段に増加しています。その理由としては、現代女性では初経の年齢が低下していることまた妊娠・出産の回数が減っていることがあります。
よくある月経困難症状
腹痛、腰痛、悪心(気持ちが悪くなる)、嘔吐、貧血、頭痛、頭重、食欲不振などがよくある症状です。生理痛(月経困難症)には2種類あります。
ホルモンのいたずらによる生理痛(機能性月経困難症)
生理痛ですが、機能性月経困難症と呼ばれているものです。これは毎月きちんと排卵する卵巣から2種の女性ホルモンである。卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。特に黄体ホルモンは子宮内膜という子宮の内側になり月経の時に剥がされて出血とともに出てくる膜に作用し月経痛の原因になる物質を増やします。具体的には、子宮内膜にプロスタグランディン(Pg)という局所ホルモンを増加させます。このプロスタグランディン(Pg)が子宮を収縮させて腹痛や腰痛、悪心の原因となるわけです。
子宮内膜症や子宮筋腫などの異常による生理痛(器質性月経困難症)
最近、子宮筋腫は比較的若い人にも見られます。また子宮内膜症は年々増加傾向にあり20代前半からよく見られるようになった病気です。このような病気は、月経困難症の原因となります。これを器質的月経困難症といいます。生理痛がどちらによるものなのかは婦人科の診察で診断することができます。
生理痛はがまんしても意味がない
生理痛をただがまんするのは、ご本人がつらいだけです。そして痛みを軽くするように治療することには、何も問題がありません。生理痛などで無意味ながまんをしないで痛みから解放されて快適に過ごしましょう。
生活上の工夫
月経の前は骨盤の血流の流れがうっ滞します。これを改善するために適度な運動は有効です。月経の始まる1週間くらい前からジョギング、ウォーキング、スイミングあるいは、エアロビクスやもっと簡単な全身の屈伸運動などでも効果があります。
生理痛の治療法
三陰交・・・内くるぶしの頂点から指4本分上、骨と筋肉の境目にあるツボ
血海・・・ひざの皿、内側上部にあるくぼみから指3本分上にあるツボ
関元・・・下腹部、おへその下から中心線に沿って4~5cmのところにあるツボ
承扶・・・おしりと太ももの境のちょうど中央部分にあるツボ
生理痛に期待できる鍼灸治療の効果
三陰交は婦人系疾患に効果的なツボで、女性ホルモンの分泌を調整する効果があります。
血海は生殖器の血液循環を促進する「婦人病の名穴」といわれるツボです。
生理痛だけでなく、生理不順や婦人病、胃腸などに効果があります。
関元は下半身の血行を促してくれるツボです。
骨盤内の血行を促すツボである承扶と一緒に刺激すると高い効果が期待できるでしょう。
新日本製薬株式会社様の動画が分かりやすく解説されていますのでリンクをさせてもらいました